許せなかった母と、先に許していた子ども

シリーズ

始業式の出来事

毎日、必死で次男と向き合っていました。

目に見えない傷を負い、
日常生活もままならない姿を見ながら

「学校でまた傷つくくらいなら、
今のままのほうがいい」

そう自分に言い聞かせて
過ごしてきました。

いつの間にか、
日づけの感覚も曖昧になっていた頃。

3月の終わり、次男が言いました。

「始業式に行ってみたい」

正直、どう受け止めていいのか
わかりませんでした。

「まだ回復していないのに、
また傷ついたらどうするの…」

私には、明るい未来を想像することが
できなかったのです。

それでも次男は、
静かに心の準備をしているように見えました。

そして前日、

「明日、○○君が迎えに来るから」

そう言いました。

その名前を聞いた瞬間、
胸が締め付けられました。

その子は、次男を傷つけ、
学校に行けなくなったきっかけを作った子。

私の中では、
どうしても許せない存在でした。

でもーー

結果的に、
不登校のきっかけとなったその子が、
再び学校へ向かう一歩を支えたのです。

もしかしたら次男は、
もう気づいていたのかもしれません。

誰かを恨み続けることは、
自分の未来を汚してしまうと。

私もようやく気づきました。

始業式は午前中で帰る予定でした。

でも、友達や先生の喜ぶ雰囲気に応えたくて、
そのまま一日を過ごして帰ってきました。

その姿を見たのは、
一年ぶりでした。

私は、込み上げる気持ちを抑えながら

「よく頑張ったね」

そう伝えて
あまり次男の気持ちに
深入りしないように気遣いました。

あの日、起きていたこと

一年前。

入学して間もない頃のことです。

近所に住む親友は、
仲が良いのに、どこかライバルのような存在でした。

その子が次男をLINEで脅迫し
性的な画像を送らせていました。

そしてその画像は、
いじめに使われていきました。

どこまで広がったのかもわからない。

次男は恐怖の中にいました。

それでも次男は私に

「誰にも言うな」と
脅すように言いました。

もしこの出来事が明るみに出たら、
すべてを自分のせいだと思い、
背負ってしまうかもしれないーー

私は次男の命の危険を感じました。

だから、内密に動きました。

学校にも、医師にも、知人にも。

「どうか、聞かなかったことにしてください」と。

正論としては、
「警察に届けるべき」なのかもしれません。

でも私は、

正しさよりも、
目の前の子どもの心を守ることを選びました。

不登校という選択

不登校は、
「逃げ」ではありません。

傷ついた心を立て直すための、
大切な時間だったのだと思います。

目に見えない傷を抱えた子どもに対して、

「甘え」 「サボり」

そんな言葉を向けていないでしょうか。

それも、大人が。

子どもが感じる「辛さ」は、
大人の物差しでは測れません。

そして、きっとまだーー
傷は完全に癒えたわけではありません。

これからも、
不登校という”逃げ場”を使いながら、

少しずつ回復していくのだと思います。

大人に伝えたいこと

不登校の期間も、理由も、
一人ひとり違います。

だからこそ、

大人が簡単に否定してはいけない。

どうか、

不登校とは無縁の立場にいる大人ほど、
正論をぶつける前に、

その子の見えない苦しさに、
想像を向けてほしい。

そう、心から願っています。

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